日々の暮らしの中で、多くの国民が抱く漠然とした疑問や不満。それらが国会という公の場で、鋭い問いとなって政府に突きつけられた。参政党の神谷宗幣議員が行った質疑は、経済、教育、そして外交という国の根幹をなすテーマにおいて、私たちが普段見過ごしがちな「不都合な真実」を浮き彫りにしました。
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「賃上げ」の掛け声の陰で
政府は「骨太の方針」で「賃上げを起点とした成長型経済」をうたう。しかし、神谷議員は「減税もせず、電気・ガス代が高騰する中で、どうやって実現するのか?」と、国民の実感を代弁するかのように切り込みました。大企業には内部留保があっても、多くの中小企業は日々の資金繰りに喘いでいる。そんな中での「賃上げ要請」は、かえって企業の倒産を招きかねません。
神谷議員が処方箋として提示したのは、小手先の対策ではない。企業の生産性を著しく下げていると指摘されるインボイス制度の廃止や、過度な自由競争の見直しといった、より構造的な問題への言及でした。これは、「賃上げ」という果実を得るためには、まず「景気回復」という土壌を耕すべきだという、至極まっとうな主張なのです。
核心を突いた留学生支援の実態
この日の質疑で、最も衝撃的だったのは外国人留学生への支援の実態に関する指摘でしょう。
神谷議員は、アメリカが安全保障上のリスクを理由に一部の留学生の受け入れを制限している事実を提示。その上で、日本の博士課程学生支援プログラム「スプリング事業」の驚くべき実態を明らかにしました。
令和6年度、この事業の支援対象者10,564人のうち、実に4割にあたる4,125人が外国人留学生。そして、その大半を占める3,151人が中国人留学生だという。単純計算で、年間約90億円もの日本の税金が、返済不要の給付金として彼らに渡っていることになる。
言うまでもなく、学術交流や優秀な人材の受け入れは重要です。しかし、支援対象の4割が外国人で、その大半が特定の国に集中している現状は、果たして「日本の将来を担う研究者の育成」という本来の目的に適っているのでしょうか。
「そもそもハーバード大学に通えるような富裕層に、なぜ日本の税金で援助が必要なのか」。神谷議員のこの問いに、政府から明確な答えはありませんでした。国民が物価高に苦しみ、財源不足を理由に様々な負担を求められる一方で、巨額の税金が国外に流出しているとも言えるこの構図は、多くの国民にとって到底納得できるものではないでしょう。
日本の羅針盤はどこを向くか
質疑は、日本の外交姿勢にも及びます。小池都知事が提案した「WHOの東京誘致」。これに対し神谷議員は、アメリカがWHOからの脱退を表明したことなどを引き合いに、国際機関そのものへの信頼が揺らいでいる現実を指摘。同盟国アメリカと日本の向かう方向が、果たして一致しているのかと疑問を投げかけました。
経済、エネルギー、安全保障。あらゆる政策において国際連携が不可欠な時代に、日本の羅針盤はどこを向いているのでしょう。政府には、場当たり的な対応ではなく、国益を見据えた一貫性のある戦略が求められます。
今回の質疑は、私たち国民一人ひとりに重い問いを投げかけています。私たちの納めた税金は、本当に日本の未来のために使われているのでしょうか。国際社会の中で、日本はどのような立ち位置を目指すべきなのでしょうか。国会で示された「不都合な真実」から目をそらさず、議論を深めていくことこそ、この国の未来を切り拓く第一歩となるはずです。
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