11月29日、土曜日の夜のことです。私はこの日のために2週間前から準備を重ね、機材を積み込んで愛車に乗り込み自宅を出発しました。

今回の旅の目的は、空を飛ぶ飛行機を写真に収めること。かつて山登りで培った風景撮影の延長線上に、今回の被写体はあります。
荷室にはカメラ2台とGoPro、そして目的地についた後での移動のため自転車を積み込みました。

目的地は福岡県、築城(ついき)基地です。
片道数百キロを車で走り、途中フェリーにも乗船する約5時間の長旅になります。

航空祭当日は、公共交通機関も道路も確実に混雑します。特に今年はブルーインパルスが2年ぶりに飛来するため、相当な人出になることは予想していました。しかし、6年前に訪れた際の記憶から「まあ、なんとかなるだろう」と軽く構えていたのが、そもそもの間違いでした。
四国側から九州に渡るために愛媛県の三崎港から22時半発のフェリーに乗り込みます。船内を少し散策した後、一般座席で仮眠をとりました。約1時間10分で佐賀関へ到着。二週間前に起きた山火事の跡は、深夜の闇に包まれていて見ることはできませんでした。
フェリーを降りてからは、Googleマップを頼りに指定駐車場の「天満海水浴場」を目指します。途中、コンビニで帰りのためのお土産と、翌朝の食料としておにぎり2個と水2本を調達しました。
椎田ICを降りて、まずは「しいだアグリパーク」の駐車場を横目で確認してみたのですが、なんと深夜にもかかわらず、うろうろしている車の影が見えます。看板には「満車」の文字。
「これは、ちょっとまずいことになっているかもしれない……」
そんな不安を抱えながら本命の天満海水浴場へ向かいましたが、案の定、そこも満車でした。すでに堤防沿いには10台以上の路上駐車の列ができています。
私はすぐに次の一手を考えました。数年前まで使っていた、基地海側のマニアックな堤防スポットへ向かうことにしたのです。そこなら雑木林の隙間に車を停められるはずです。
現地へ向かう途中、深夜1時だというのに軽ワゴンとすれ違いました。嫌な予感がします。
現場に着いてみると、無情にも「駐車禁止」の張り紙がベタベタと貼られていました。ここも駄目でした。
時刻は深夜2時前。いよいよ追い詰められた私は、1000台収容可能な指定駐車場である日産工場の駐車場へ向かいました。しかし、守衛さんも警備員さんもいない真夜中の広大な駐車場に、勝手に車を停めることには躊躇してしまいます。朝まで待つか?さらに、考えるとここから現地までの行き来にシャトルバスを使うとなれば、帰りの混雑に巻き込まれるのは必至です。
どうする?
こんな時のために、私は「プランB」を用意していました。
それは、「最寄りの中規模駅周辺に車を停め、そこから築城駅までを列車で動く」という作戦です。
私は迷わず行橋駅へと車を走らせました。幸運にも、コインパーキングの最後の一台分のスペースが空いていました。周囲を見渡すと、目隠しをしたアルファードなどが並んでいて、皆さん車中泊を決め込んでいるようです。私もシートを倒し、ここで短い眠りにつくことにしました。
翌朝、6時に起床。駅へ向かい、まずは「帰りの切符」を購入しておきます。帰宅時は券売機が大混雑して、切符を買う時間なんてないからです。

ホームへ上がると、すでに基地を目指す人々で溢れかえっていました。満員で乗れない列車を3本見送り、ようやく乗車。築城駅に着くと、人の波に押されるようにして基地へ入場しました。

手荷物検査を済ませ、通称「工事門」をくぐってエプロン(駐機場)へ向かいます。
いきなり出迎えてくれたのは、F4ファントムの展示機でした。岐阜基地でも感じましたが、F4EJには特別な愛着を感じずにはいられません。今にも飛び立ちそうなほど美しく整備されていました。
エプロンの中央に陣取り、レンズをセットして準備完了です。いよいよ航空祭の開幕です。

オープニングフライトのF2編隊飛行を皮切りに、救難ヘリUH-60J、T4、OH-1の機動飛行、ウィスキーパパの曲技飛行、F15、T7と続きます。

地上展示されたミサイルやレーダーにもカメラを向けつつ、基本的には美しい青空をバックに、夢中でシャッターを切り続けました。
行列に並ぶ時間を惜しんで、昼食は持参した高菜おにぎりのみで済ませました。それでも、持ってきた機材の性能をフルに発揮できたのは、それだけで十分満足でした。

ただ、ブルーインパルスの展示飛行は人の壁に阻まれてしまい、いつものような水平アングルや地上タキシングの撮影は叶いませんでした。F2のドラッグシュートが開く瞬間も撮れず……。遠征組である以上、場所取りの不利は受け入れるしかありませんね。
ふと気になったのは、目の前にいた4人家族のことです。ブルーインパルスの演目がまだ残っているのに、早々に片付けをして帰り始めたのです。「まだ始まったばかりなのに、何か用事でもあるのかな?」と思いましたが、その賢明な理由は1時間後に判明することになります。

F2による迫力満点の模擬対地射爆撃を見届け、ハンガー内での装備品展示や隊員の方とのお話を楽しみ、14時45分頃に撤収を開始しました。
しかし、帰路についた私を待っていたのは、想像を絶する「人間渋滞」でした。

正門から駅へと続く道は、幅10メートルいっぱいに人が埋め尽くしています。見える範囲だけで150メートル、実際には300メートル以上続いていたでしょう。あの家族連れは、この混雑を知っていたからこそ、あのタイミングで退散したのですね。
それでも、フェリーに乗ってまで来たのですから、最後まで楽しんで正解だったと思います。
遅々として進まない列、警察とJR職員の方々による必死の人流コントロール。駅に辿り着くまで2時間弱かかりました。そこからさらに満員電車に揺られ、行橋駅に戻ったのは17時でした。強い西日の中を歩くのはしんどかったですが、まあ、これも旅の醍醐味と言えるでしょう。

行橋ICから高速に乗り、別府湾SAで夕食を済ませてフェリー乗り場へ向かいました。到着は19時05分。なんと、5分前に船が出た後でした。
次の便までの一時間、車の中で泥のように眠りました。
自宅に着いたのは日付が変わる直前です。
疲れましたが、本当に楽しかったです。久しぶりの一人旅、写真もたくさん撮れて大満足でした。
来年もまた、行こうかなと思っています。
【今回の旅のまとめ】
- 日程・ルート
- 11/29(土)夜出発~翌日深夜帰宅。
- ルート:自宅 → 三崎港(フェリー)→ 佐賀関 → 築城基地周辺 → 行橋駅(車中泊)→ 築城基地 → 帰路。
- 主な目的
- 築城基地航空祭での航空機撮影(F2、ブルーインパルスなど)。
- トラブルと対策
- 駐車場問題: 現地付近の駐車場(アグリパーク、天満海水浴場、堤防スポット)は深夜1時の時点で全滅でした。
- 解決策(プランB): 少し離れた「行橋駅」周辺のコインパーキングに駐車し、電車で現地入り(車中泊)することで切り抜けました。
- 混雑: 帰路は駅まで凄まじい「人間渋滞」が発生し、約2時間の徒歩と待ち時間を要しました。
- 撮影の成果
- 天候に恵まれ、青空バックの良好な写真が撮れました。
- 混雑のため、地上滑走や水平アングルの撮影はできませんでしたが、飛行展示は十分に堪能できました。
- 教訓
- 帰りの切符は朝のうちに買っておくこと(実践して正解でした)。
- 早めに撤退する人がいる理由は、帰りの混雑を避けるためだと痛感しました。
- フェリーの時間には余裕を持つことが大切ですね


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